横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校同窓会

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インタビュー 第1回 宮島 洋 (9期)

2. 国立大学について

このページは、宮島先生が取材の中で国立大学の意義についていろいろ話して頂いたので、それについてまとめてみました。(文責:小島)

東京大学で学んでいるという意識はあっても、国立大学で学んでいるという意識を教員や学生たちはあまり持たないと思います。戦前は国立大学の位置付けは非常にはっきりしていて、帝国大学は官僚の育成、師範学校は教師の育成をそれぞれ目指した国策大学でしたが、今は何を国は国立大学に求めているのかが不明確と言えるでしょう。私立大学と同じく卒業して、学生がみんなサラリーマンになってしまうのでは、何のために国が税金を投入しているのか分からないという話になってしまいます。こういうことを大学の人は考えてこなかったのではないとおもいます。特に文系では、学生にとっても教官にとっても、設置形態が国立だからといって特に大きな違いがないのが現実であると思います。学生諸君にそれを考えてくれというのは無理かもしれないと思いますが、少なくとも教官はそのような意識をもつべきではないかと思うのです。国から予算を取ってくるというだけではいけないというのが、この[国立大学法人化の]問題で一番変わるべきところだと思います。

ノーベル賞を受賞した小柴さんがカミオカンデを作るとき、「税金使うのだから無駄するな、なるべく安くていいものを使え」といったそうです。国立大学での研究においてはこのような姿勢がさらに重要になると思います。

われわれが中学生だったころは付属中ももっと教育のための教育――例えば新しい教育方法を作り出すなど――を明確に目指していた部分はあると思います。でも現在はどこの国立大学附属学校もエリート校になっているという批判があります。一時期、国立大学付属学校の廃止が議論された背景にはこのようなことがあると思います。現在は、廃止の方向はなくなりましたが、中身は大きく変わる必要があると思います。教育には普遍的に能力を伸ばすという目的と、すでに高い能力の人をさらに伸ばすという英才教育の目的と、両立が難しい二つの目的があるのです。やはり、国立大学とその付属学校の位置付けはどのようにするのかを真剣に考える必要があると思います。

国立大学は必要かという話になると、たいていの先生方は「費用が安くて、機会均等」という理由を挙げられるのですが、「それなら、所得の低い人を優先してとるべきだ」という案に賛成するかというと、誰もいないのです(笑)。また、機会均等だけを重視するなら、授業料は安くせずに、困っている人に奨学金をたくさん出すようにすればいいのです。そのほうが正論で、私立大学との選択も可能になるのですが、あまりこういうことを考える大学の先生はいないのが現状なのです。

同窓生インタビュー 宮島 洋さん(9期)
  1. 附属中時代の思い出について
  2. 国立大学について
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