私は、基本的には、国立というやり方から自由な仕組みになるということには賛成です。もともと、国立で教育機関を作るという発想は、国の主要なところを担う人材を育成するというところにあると思うのですが、教育がここまで進んでくれば、もう国として人材を作り出す必要はなくなったのではないかと思うのです。そういう意味では、各大学が自立した形で教育を行なうという理念は、今日の官から民へ、という流れにも沿っていて、良いのではないかと思います。
ただ実は、今回の法律では、本当に大学の自主性を生かした教育の場が出来るのかというと、むしろ後退してしまうのではないかと、危惧があるのです。今回の法律では、大学の監督官庁には、従来からの文部科学省の他に、総務省が、独立行政法人に対する評価をするという名目で加わってきます。このことが大学をかえってがんじがらめにしてしまうのではないか、という不安はあります。
今回、国立大学に自主的な運営が可能になったことで、附属中学、横浜国立大学としても、積極的になれる環境にはなったと思います。教育は、従来の小学校・中学校・高校という6・3・3制のあり方も含めて、もう一度大きな枠組みでとらえ直す時期にもなって来ていると思いますので、教育の区切りの時期をどこにするかということも含めて、附属校の設置を検討するのは良いことだと思います。
附属中学、横浜国立大学で附属高校を設置するという機運が高まれば、卒業生の1人としてとても嬉しい気持ちです。
左から中西同窓会長、千葉先生、石川さん