横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校同窓会

ホーム特別寄稿恩師による特別寄稿

若松先生との対談

4. 現在の教育と附属中

中西 リテラシーって授業がありますが、あれはいつ頃から始まったんですか?

若松 あれは、君ら(53期)の頃ぐらいからだっけ、1年生のとき。

岩崎 そうですね。

若松 総合学習で、やっぱりある程度のこと、ワープロが打てるとか、検索が出来るとか、そのぐらいのものがないと学習が進展しないだろうということで、自由研究をやる前に、授業で知っておこうということで。一応そのために発表の仕方、プレゼンの仕方、パソコンの操作の仕方、インターネットを使った身近な調査の仕方、そういうようなことを1年の前期のときに身につけて、2年からやって、でまた3年でやっておしまいなんだよね。

中西 普通の学校にもある授業なんですか?

若松 あれはうちの学校の創造的なものですよ。

中西 普通の学校には無い?

若松 総合的な学習の時間はやるんだけど、やり方は、別に教科書があるわけじゃないし、各学校の独自性に任されているわけです。

中西 昔はそういう授業はなかったですよね。

吉田 なかったですね。

若松 まぁ、『教科』じゃないですからね。リテラシーというのは、これから総合学習を効果的に進めるために、あるいは教科にも役立つしね、そのための準備として、基本的なことを身につけておきましょう、っていうことなんですよ。


中西 今は附属中の受験に面接はないんですか?

若松 ないですね。

中西 私のときは、国旗を見て国の名前と、顕微鏡を見て繊維の名前を言う問題がでました。

吉田 ありましたね、体育の実技もありました。

若松 僕らのときは外部の人はなかったんじゃない。出来なかったじゃない、数的に。いっとき入試の倍率がかなりあったじゃない。一時期倍率下がりましたけど、最近、学校の頑張りに加え相対評価から絶対評価に変わったこともあって、また上がってきてるんですよ。法人化になって予算面では北風が吹いているけど、それ以外の面ではうちの学校に関しては南風が吹いているんじゃないかな。新しいものが出ればすぐ手をあげてやってるし。研究発表会年2回っていうのはうちだけじゃないですか。今度6月にあって、また2月は、「忙しいから出来る人だけやろう」っていうふうにプロジェクトを組んでやってるみたいですよ。

中西 発表会があると必ず、本にまとめて出してますよね。

若松 あれは予算ゼロでやってるんですよ。6月は正規のだから予算組んでやってますけど、2月のプロジェクトは予算が無いから、赤字作っちゃいけないんですよ。あの本は原稿代もらってないんで、全然。本を出してもらって、その売り上げでやっていこうかなと。

中西 あー。なるほど。

若松 でもあれって、まだ誰もやってないから、結構売れるんですよ。みんながやり始めて、似たようなのを出したって誰も買わない。そのとき、タイムリーかどうかっていうのが問題なんでね。

中西 今年は「読解力とは何か」という本が3月に出ました。

若松 いま読解力っていうのがすごく問題になってて、国語だけじゃなくて数学とかいろんな教科でも読解力を育てようと。先日教科書の編集会議に行ったんですけど、読解力が話題になって。みんな読解力でキョトンとしてたから数学の読解力とはこういうもんなんです、って説明してきました。

あと附属に来て良いのは勉強についてだね。教員にとって。大学の先生との付き合いもあるから、こっちがその気になればいくらでもその機会が与えられるってことで。公立はなかなかそうもいかないじゃないですか。で、附属の子ってやっぱり授業を見る目って厳しいものがあるから、あの先生は出来るとか出来ないとかわかるんですよね。それって結構厳しいものがあるんで、だからそれに向かない先生は附属に来たら辛いと思いますよ。だから僕なんかは、別に自ら口に出しちゃいないけど、心の中で、「お前たちに日本一の先生に会えて良かったと思わせるような授業を常にやろう」とはいつも思ってましたね。また、教科書を書いていると、後ろに名前が載ってるじゃないですか、執筆者で。あれがあるってだけで全然違うんですよね。まぁ誰でも載るってもんでもないしね。
(注・附属中学で使用している数学の教科書に、若松先生が執筆者として名前を連ねている。)

若松先生との対談
  1. 附属への転任
  2. 附属での授業
  3. 学校行事の変遷
  4. 現在の附属中と学校教育
  5. 附属の絆
  6. 校舎の歴史
  7. 終わりに
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